正直あまり言っている意味が分からなかった。
たぶん眠さの方が勝ってたんだと思う。
――なんで試すようなことを?
そう疑問に思うとこの提案は父のケジメなんだと真剣な顔をする父が私たちを見ていたんだ。
ケジメだとしてもなぜ期間付きなのかそこら辺は理解できない未だに。
それでもその言葉を信じて過ごすこと1週間。毎日父は定時に上がり、帰宅すると母の手料理を余すこと無く食べている。休日は母に代わって家事をしたり、手伝ったり……とあらゆる面で父は協力的になっていた。
その様子に母が嬉しそうに笑っている姿をよく見ることが増えたのも確かで。あまりの変化ぶりに当初戸惑った様子もみえたけれど、今となっては父と肩を並べて食器洗いする母は楽しそうだ。
……たぶんもうあの紙は見なくて済むだろう。そう確信持てる気がしているのはそんな2人を包む空間が穏やかだからだ。
「――ハイハイハイ! 私、中華街食べ歩きしたいでーす!」
「おっ、いいねえ」
「んじゃ中華街は決定ってことで!」
オッケーと手で示すとちょうど予鈴が鳴った。
あとでねと手を振る2人から都波に視線を移す。静かな寝顔に起こそうとする手が止まって、まだいいかと本鈴が鳴ったら起こすことに決めた。
窓の外を眺める。窓に薄らと映る私の口角は上がっていた。



