叫べ、叫べ、大きく叫べ!


今この部屋に私含め8人もいる。


不思議だ。とてもふわふわする。まさに夢見心地。隣にいる栞那も心ここに在らずって顔をしている……気がする。だって、手がまったく進んでいない。


そうだよね。この家にこんなにも人が入っているなんて……感慨深いよね。胸がいっぱいだ。


この空間に酔いしれてしまっていると突然都波が「香澄ちゃんは美人で、栞那ちゃんは可愛いよね」と言い出して思わず眉をひそめた。それは栞那の彼氏――梶原くんもで。



「何言ってるんですか先輩っ、お姉ちゃんは分かりますけど、私は全然ですよ」


ああ、栞那……無視しとけばいいのに……。あまり食い気味になってると隣の梶原くんが……。



「栞那ちゃんも自覚した方がいいって。香澄ちゃんも全然真に受けてくんないの。ねー?香澄ちゃん……ってなんでそんな睨んでるの!?」


そんな言葉にため息をこぼし、作業に向き合った。


「えー無視!?」なんて近付いてきた都波に「セロテープ取って」と言えば従っちゃうあたり本当に犬みたいだなとその背中に笑った。




みんなのお陰で飾り付けは難なく完成することが出来たのは19時頃。父が帰宅し頃は7人が玄関にぞろりと立っていた時で、目の当たりにした父は圧倒されていた。


思い出すだけで笑ってしまう。密かな自慢になるけれど、父は容姿端麗だ。だからあの整った顔が驚きで崩れた顔がなんとも斬新だった。



「今日もお母さんの所へ?」

「うん。今日の母さんは穏やかだったな。しょっちゅう嫌な顔されてたからなんか変な感じで……そういえばあの子たちは香澄の友人か? あれっ、栞那は?」


夕食中キョロキョロする父にくすりと笑う。


栞那は彼氏を送ると言って一緒に出て行ってしまった。梶原くんは断ってたんだけどね。まだお話でもしているのだろうか。


もうすぐ20時になるけど……。



「お母さん元気で良かったね。明日だよね退院。お父さんがお迎えに行くんでしょ?」

「ああ。18時頃迎えに行くつもり」

「そっか。良かった」

「ン? なんかあるのか?」

「エ? ……ああ、何も、無いよ?」


危ない危ない。ほっとしすぎてぽっと出てしまった安心感が。なんとかうまく誤魔化せたみたい。先入観の無い父で良かった……。



「で、栞那は?」

「彼氏送りに出た――あ、帰ってきた」


玄関から彼女の声が聞こえた。その声はとても嬉しみに満ちていた。