叫べ、叫べ、大きく叫べ!


「あのファミレス王子め許さんっ」

「でも千木良くんがそんなことする人には思えないな。だって見た目からして遊んでそうには見えないし、むしろ何も興味無さそうじゃない? てか2人とも知ってる?千木良くんて意外と有名なんだよ」


なにそれと皐月を見た私たちに珍しく勝ち誇った笑みを向けた。それから私に笑いかけた。



「いやぁほらよくさ香澄ちゃん、2-2の前通る時必ず教室の中をみてたから。ちょっと興味本位で探ってみたの」


やっぱり皐月は勘づいていたんだ。彼女のその口ぶりからしてきっと指摘されたその日ぐらいから彼を見ている事も特定していたんだろう。


皐月はよく周りを見ている。小さな気遣いがよく出来るいい子。面倒見のいい彼女はまるでお母さんみたいだと何度も思わせるくらいだ。



「千木良くんて“眠りの王子様”なんて呼ばれているみたいだよ」

「ほえー、やっぱ王子様なんだ。でも全然知らなかった。へー“眠りの王子様”ねぇ……」

「だけどそう呼んでいるのは千木良くんと同じクラスの子だけなの。あんなにイケメンなのに私たちも全然いた事すら知らなかったじゃん?他のクラスの子にも聞いてみたんだけど、」

「メイめっちゃ探偵してるやん」

「んふふめっちゃ楽しかったよ〜。でね、その子たちも全然知らなかったみたい。だから教えてあげたんだけどさ、ちょっと不思議な事があって……」


皐月が欠伸をすると伝染したように私も文香も大きな口をあけた。時計はもうそろそろてっぺんを越える頃だった。

眠たそうに目を擦る私たちはこの話を終わらせるまで眠るまいと奮い立たせ姿勢を正す。


めいはちょっと考え込んだ後口を再び開いた。



「変な話かもしれないけど、あんなにイケメンなのに全く噂にならないのおかしいよね? イケメン情報って広まるの結構早かったりするじゃん。だって黙ってればイケメンな都波でさえ入学したその日にワーキャー言われてるのに千木良くんが言われないのおかしいと思わない? そう思うの私だけかな」


一旦言い終えた皐月に文香が「サラリとディスってるよ皐月さん」と苦笑いを浮かべた。