叫べ、叫べ、大きく叫べ!


口を噤んだ私を見た2人は肯定したと思ったのだろう。真剣な面持ちで私を見ている。


私だけ蒸し風呂の中にいるみたいにじわりと汗を作った。何を言われるのだろうか。なんでそんな悲しそうな顔をしているの。


それとも……怒っているの?


名前を呼ばれるとビクリと肩が震えた。私と2人の温度が違うように思えてならない。……私何かした? トーク欄に変なこと書いてあった? 千木良くんがどうかした?


嫌な音を立てながら続く言葉を待つ。
反して返ってきたものは優しさと気遣いだった。



「今日一日香澄が元気ないように見えたのはこれが原因?」


文香が画面を見せて指をさす。そこにはあの日の直後に送られたと思われる千木良くんからの謝罪の言葉だった。


たったの3文字に私は返信はしなかった。あんな事されてこの言葉だけでは済ましちゃいけないと思ったし、許せなかったし、私にそんな返す気力も残ってなかったから。


「聞いてもいい?」と文香の声が降ってきて顔が上げられない私は黙って頷いた。



「何があったの?」

問いかける声が優しく私を撫でた。


言おうか言わまいか悩んだのは瞬きひとつぐらいで、静かな部屋にポツリと放たれた私の声は虫の息くらいだった。だけど、2人はしっかり聞き取っていたようで配慮した叫び声をあげた。


文香は口をパクパクしていて、皐月は両手で顔を覆っている。



「えぇえ!? 香澄彼氏いたの?!」

「アヤ声っ、もう少し下げて」

「あ、ごめ。え、香澄彼氏いたの?」


居ないよと首がもげそうになるくらい振った。だけどあまり信じてもらえられないみたいだ。難しい顔をする文香にから笑いを向けた。


それもそうだ。未遂だとはいえ、キスされそうになる関係に誰もが首を傾げるはず。


2人の落ち着いてきた様子をみて、事の経緯を話すと小さな奇声をあげるとともに憤慨もしていた。