叫べ、叫べ、大きく叫べ!


金城さん自宅は、私が思っていた沖縄っぽい家とは違っていた。
想像していたのは、家を囲むような石の塀と門にシーサー、屋根瓦は朱色のイメージだったのだけれど……至ってごく普通の家だ。


周りの家もあまりそれっぽさはなくて、逆に馴染み深いだなんて思い込んでしまいそうになる。

少しの違いは家のあちこちから大きな葉っぱが飛び出ているくらい。……これは防風林というものなのだろうかと事前学習で調べたときに記事で読んだことを思い出す。


玄関には金城さんの奥さんが出迎えてくれていた。
穏やかな笑顔が私たちの緊張を緩めて、すんなりと懐いてしまいそうになる。名前は紀子(きこ)さん。



「いらっしゃい!さ、上がって上がって〜。何も無いけど気軽にくつろいでくれていいからね」

「ハイ!お邪魔しますー!」


文香に続いてお邪魔しますとお辞儀をすると、「そんな畏まらなくていいのよ」と笑って手招きをする。


早速案内されたのは私たちが泊まる部屋。和室だった。あまりにも広くて3人して目を丸まるとさせ、続いて洗面所、浴室、リビング、台所……と家の中を隈無く紹介されたあと、紀子さんの手料理を堪能した。


初めてのソーキそば、苦手なもずく、新鮮なマグロの刺身、そしてシークワーサージュースはどれも美味しすぎて何杯もお代わりしてしまいそうになった。

そして私はもずくを克服することが出来たことを密かに歓喜し、1番もずくをお代わりしてしまった。


いい食べっぷりだと照幸さんたちに言われてしまったけれど、1番食べていたのはやっぱり文香で、後で吐かないか心配になったのは言うまでもない。


その後も楽しいは続くばかりで。
正直この家の中にいる人たちは1つの家族みたいだ。こんなこと口が裂けても恥ずかしくて言えないけれど、こんなに温かすぎる家庭ってこんなにも楽しいのかとしんみりしてしまった。


そんな顔は表には出さずに私もたくさん笑顔を溢した。


私は三味線のセンスがあるらしい。


そう発覚したのは3人で初めて触れる三味線をぎこちなく丁寧に奏でていた時だった。
一番飲み込みが早かった私は、夕飯時に自己紹介をして判明した三味線の先生をしている照幸さんが入念に私に教え込んでくれた。