「千木良くん。私たちってどんな関係だと思う?」
「んー、なんだろ。 ……屋上仲間?」
「そ、っか」
まあ、そう答えるよね。なに落ち込んでるんだろう。なんて言って欲しかったんだ私は。私だって屋上仲間って思ってたんだから別に正当な回答じゃん。
自分から聞いといて落ち込むとか……。
速まっていた鼓動は落ち着いていた。自販機の稼働音が勝っているだろう。
自嘲して目を閉じると目頭が熱くなってきた。意味がわからなかった。
だけど文香のアノ言葉を思い出して腑に落ちた。
私、千木良くんが好きなんだ。
だけど、彼は私をそういう対象では見ていない。だから私は悲しくなったんだ。
そっか、これが、恋なんだ……。
静かなロビーの片隅にいる私たちは寄り添っているけれど、この関係はただの屋上仲間なんだな。
心の中で自嘲し続けてしまう。悲しくておかしい。
……文香、気付いたら好きになってたって案外悲しいよ。いま物凄く悲しいから。
思い馳せていると「あ」と思い出したように呟く声が宙に溶け込んだ。
「友達以上恋人未満」
そう言った彼と視線が絡んだ。
肩から離れる瞬間を追っていなかったら見つめ合う事なんてなかったはずなのに。催眠術にでもかかってしまったみたいだ。逸らせられない。
この綺麗な漆黒に吸い込まれそう……。
「香澄と俺は、たぶんそんな関係だよ」
千木良くんは微かに笑って、私の手に大きな掌を重ねた。一旦離れて今度は指を絡めとる。とくんと高鳴る胸は次第に加速していった。
「香澄とは手繋いだり、抱き締めたり、一緒に寝たりもしてる仲だから」
「……あれは一緒に寝たってことに入るかな。ちょっと違、」
「香澄は、俺のことどう思ってる?」
「……え?」
「俺は……、好きだよ」



