上空にはたくさんの華が咲いている。華だけじゃない。あの夏祭りで打ち上がっていた様々な形の花火が轟かせては成して散っていく。
後夜祭が終わったあと校庭にいる花火師さんが私たちのために打ち上げてくれるという毎年恒例の小さな花火大会。
私の提案で屋上へやってきた。
隣には文香と皐月、都波、真田くん、糸口くんがいる。服装も季節も違うけれど再現をしているみたいだ。
風が気持ちいい。そして少し焦げくさい。それもまたいい思い出に変わる。
あまりにも美しく咲いていく華たちを黙って見ているだけじゃ物足りないので写真に収めた。
ふとある写真を思い出して胸が高鳴った。
ちらりと彼がいつもいる方へ視線を移す。
ベンチに座った千木良くんの横顔はあの日とは雰囲気がまた違っていて、儚く見えた。整った綺麗な顔に私は見惚れてしまう。
ついシャッターを切ってしまった。再度表示した1枚はやっぱりどこか儚い雰囲気がだだ漏れていて今すぐにでも彼の近くに寄りたい衝動に駆られた。
……なんでそんな顔をしているの。 何があなたを苦しめているの。
言ってくれるまで待つとは言ったけれど少しでもいいから力になりたいよ。なんでだろう。私まで苦しくなる。そんな顔しないで。
【この後の花火屋上来なよ。友達連れてさ】
後夜祭中に届いた彼からのメッセージ。連絡先を交換した以来初めてのメッセージだった。
嬉しかったけど、心から喜べなかったのはなんでなのか分からない。
それに文化祭巡回中、千木良くんとたまたまぶつかって私は変な汗と変な動悸にタジタジしてしまった。
浴衣姿の彼を初めて見たからだとは思うけれど、横髪をヘアピンで止めた彼が別人のようにかっこよくて、そんな私に笑う彼にまたドキドキして、私自身バグってしまったみたいだ。
そして私は1つ嘘をついた。
ここへみんなを連れてきたのは私の提案ではなく、彼の言葉があったから連れてきたんだ。
じゃなきゃ、私の安らぎである場所に招待するなんてしなかった。本当は知られたくなかった。だけど、千木良くんが居ると知ったから私は……。
「写真撮るよ!みんな集まって」
文香の一声で私を囲むように集った。ハイチーズの合図で1枚思い出が収められた音が轟く中に小さく響いた。
うまく撮れたと見せてくれた写真はブレもせず綺麗に彩られていた。みんな笑っている。後ろの花火も大きくて綺麗。
「これで夏祭りの挽回完了だねっ」
「そうだね。ありがとう」
「いや挽回じゃないでしょ。また来年みんなで行こうよ、夏祭り」
「えー、男子いらないんだけど」
「ひでーな!だったら香澄ちゃんと……ってどうしたの香澄ちゃん!?」



