叫べ、叫べ、大きく叫べ!


階段を降りて歩き進めるとだんだんと雰囲気も明るさも暗がっていくのが分かった。


行く先は全て文香に任せっきりな私たちだけど、これは流石にみんな察したようで。私の周りがザワつく。


最後尾に並ぶとすぐ側の看板が目につく。たくさんの赤い手が恐怖心を奮い立たせる。歪な〝お化け屋敷〟の文字には背筋が凍りついた。一体誰がこんな怖い文字を書いたのだろう。素直にすごいと思う。



「ねえ文香やめない?ここ入るの」

「メイまさか怖いの?大丈夫だって!ホンモノが出るわけじゃ無いんだから。それに私らと同じ人たちだよ怖くないって」

「いやそうなんだけどネ?結構本格的じゃん……だって見てよ」


皐月は出口から出てきた人たちを指す。
ゴクリと生唾を飲んでしまった。


笑っている人なんて誰ひとりいない。自分を抱きしめる姿が多くみえる。更には出口から飛び出てくる人も多数みられた。


え、そんなにクオリティ高いの?
学校の文化祭だよね。子どもが泣くのならまだ解るよ。なのに同年代の人たちまで泣きそうな顔しているのって……。



『ここ過去一怖いかもしれない』


ふと耳に入った言葉が私と皐月、そして文香を凍りつかせた。


後ろから喉元から笑う声が聞こえて3人して振り返る。

案の定、都波が楽しそうに笑っていた。
それに左右にいる真田くんと糸口くんも意外と怖がっていないみたい。


男子って強いんだな。



「アヤ知らなかったの?昨日から結構有名だよ。ほんと“過去一怖い”らしいんだってさ。本当に“出る”みたいだからこのお化け屋敷」

「で、出る。……えだって えマジ?」

「マジマジ」


真っ青になっていく文香の顔に笑いそうになるのを堪えつつ私も表情が引きつってきた。


今なら列から抜けられる――そう思いたかったけれどもうそんな時間すら与えてくれず私たちの出番が来てしまった。