叫べ、叫べ、大きく叫べ!


カレーはやっぱり家のより別格だった。妹と一緒に食べた文化祭のカレーとはまた違うけれどこれもまた美味しい。


教室内にテーブル席が6つしかない内の窓側の席だけ奇跡的に空いていた。ふと窓の外を見るとどこから伸びている列なのか分からないくらいの人の多さに圧倒されて声を零す。


すぐに目線は妹の方へ向かって、焼き付けるように眺めていると誰かの手が視界を遮った。



「さっきの受付の子って夏澄ちゃんの知り合い?」

「……私の妹だよ」

「へえ妹ちゃんなんだ。かわいいね。なんて名前?」

「かんな」


彼女の名前を久しぶりに口にした。その瞬間ドキンと心臓が飛び跳ねた。


栞那がこっちを見た、気がしたからだ。


まさかこの小さな呟き声が聞こえたなんてことはないはずだ。都波だって聞こえていなかったのだから。口パクと言っても過言ではない。


もう一度名前を出すと栞那はこっちには向かなかった。代わりに都波が興味深く声をあげる。



「……やめてよね。妹に近付いたりすんの」

「っ! えそれって……ヤキモチとか?“近づくのは私だけにして”ってこと?え?」

「は、馬鹿じゃないの。ヤキモチなんて妬くわけないしそんな事1ミリも思ったことありませんー。ザンネンでしたー」

「いやなんでアヤが言うんだよ」

「はは、そんなことよりもさっ次行くよ!」


悪戯に笑った文香が私の手を引っ張る。
置いてきぼりにされた都波は焦りながら引き留めようと声を張っていて、振り向くと彼はなぜか私たちの食器分を片付けていて足留めを食らっていた。


私たちは次の目的地まで歩む。
真田くんは『俺たちを置いてった罰だ』なんて笑っていた。