叫べ、叫べ、大きく叫べ!


サァと葉っぱらを騒がせる風によって靡く髪を押さえると、空いてる左手を掴まれた。


その手と彼を戸惑いながら交互に見る。

言葉がでない。見つからない。軽くパニックしてるその頭は鳩のようでまさに鳩に豆鉄砲。


体温が高い私にとって彼の手はヒンヤリしていて気持ちいいけれどそれは逆効果でしかなくて、手のひらが発汗してきたのが恥ずかしくなった。


しっかりと掴まれてしまっている手は解こうにも解けなくて、この静けさが妙に落ち着かせなくなる。


それは心臓の音が尋常ないくらい鳴っているからで。


彼はまったく言葉を発さないし、ずっと真っ直ぐ前向いて歩いてるだけだし。
ほんと何考えてるのか分からない。
なんで手を取ったのだろう。


今の私たちをはたから見たらどんな風に見えるだろう。“恋人”だと思うのだろうか。
男女が手を繋ぐ=恋人であるなんてことは正解とは限らない。でもきっと、そう思われてもおかしくない。


今は周りに誰一人いないけれど、もうすぐ人気の多い道路へ出ることを思うとこの状況を考えずにはいられなくなって。


そもそも彼と私ってどういう関係なのだろう。
屋上仲間? 頼れる友人?
……なんだろう。


そう考え耽っていると隣が突然吹き出し笑った。



「いやそこは“友達”でいいだろ」

「わ、びっくりした。……勝手に読まないでよ。恥ずかしいじゃん」

「……へぇ、恥ずかしいことでも考えたりすんだ?夏澄って意外とやらしいのな」

「は、ハアア!?な、バッ、変態!そ、そんなことよりもコレ何してんのいきなり手なんか……」


語尾が消え入る。

繋いでいる手を指さすとなぜか含みを持った笑みを浮かべて持ち方を変えた。


指と指を絡め取るその仕草だけでクラクラしてしまいそうになる。



「な、何してんの」

「手繋ぐならこっちの方がいいのかと思って」

「は、はあ?」


何考えてんの?いやなに笑ってんの。
そういう意味で指摘したんじゃないんですけど。
全然面白くないんですけど。むしろ困ってる方なんですけど。


それに私たち友達……なんでしょ。こんな繋ぎ方してもいいの?