こんな止まらない涙は初めてかもしれない。
彼の袖山は私のそれを吸い取って湿ってしまっている。
ごめんなさい汚してしまって。
そう言おうとしても言葉は涙と嗚咽に変わってしまう。
一体いつになったら泣き止むんだ私は。
止まらない。苦しい。悲しい。虚しい。
どうしたら止まるの。
酸素ばっか欲しがってヒクヒクと息があがる。
ふと彼のやさしい香りが増した。
見上げようとするけれどがっちりと頭をホールドされてしまっているようで動かせなかった。
まるで『こっち見るな』とでも言われているみたいだ。
それにしても、安心感がすごい。
さっきまで彼の半分しか見えていなかったのが今は白いTシャツが見える。
微かに聞こえてくる心臓の音が心地よくて、もっと聞きたくて耳を押し当てた。
「……なにしてんの」
「聞いてるの。なんか落ち着くから」
「まだ泣き足りないんじゃないの」
「んー……そう見える? 結構泣かせてもらったよ。ありがとう」
「そ。……あのさ悪いけどあんまそこで喋んないで。くすぐったいなんか」
頭に置かれた手が緩んだことで見上げるとバチりと目が合った。
困ったようにヘの字に曲げた彼だけど、抱きしめるその手は離さないでいる。
「いやだ」と言えば嫌そうに顔を歪められて、頭に顎を置くとため息をつかれた。
これは『仕方ないな』と諦めてくれたのかな。
再び耳を胸元に押し当てる。
彼の息遣いと心の音、それとTシャツの柔らかな香りが心地よくて、私の心に光を灯していった。



