「なに笑ってんだよ……ッテェ……」
「あはははっ」
頭を押さえる彼は屋上にいる時と雰囲気がまったく違くてなんだか可愛い。
その拗ねた横顔もかわいい。
土管から顔を出した彼は外を確認して、指をさす。
「やっぱベンチにしよ。ここ狭い」
「いい。ここで。私は大丈夫」
「いや俺が辛い。てか泣かないじゃん」
「これから泣くからいい」
自分で連れてきたくせに。
でもそれは私を思っての選択だと知って心が溶けていく。
彼の裾を掴んで離さないでいると、諦めたように息をついて再び浮いた腰を下ろした。
私はこてんと彼の肩にもたれる。
意外とあるしっかりした筋肉は心地よくて寝てしまいそうになるけれど、その安心感に涙が再発した。
静かに流れる涙は今まで押し殺していた気持ちを吐き出していくようで止まることを知らない。
悔しくて、悲しくて、苦しくて、憎くて、ムカついて。
溢れていくそれは気持ちとともに熱を持っているみたいで頬が熱い。
頭を預けるだけの体勢はいつの間にか彼に縋るように肩に顔を埋めていた。
彼は何も言わず、私を泣かせてくれる。
それは優しく背中を摩ってくれるからで。
『思う存分泣けばいい』
そう言われているような手のリズムに甘えて、押し殺すように泣いていた声は次第に大きくなっていった。



