「話聞くから。ちょっと歩くぞ」
ポンと頭を撫でた彼はそっと私の手を取って歩きだした。
思っていた反応と違って呆気にとられながら、引っ張られるように歩く彼の背中を見てどうしようもない感情が込み上げて唇を噛んだ。
落ち着いた声が身に染みて視界が歪んでいくのがわかる。
嗚咽が止まらない。
空いてる方の手で口元を押さえるけれどまったく意味がない。
少し振り向いた彼はこんな私をみて「なに泣いてんだよまだ泣くなよ」と困ったように笑うばかりだった。
私だって本当は泣きたくない。でも出てくるんだからしょうがないじゃん。
そう思いながら繋がれている彼の手に力を入れると、同じように握り返してくれて。それにすら涙が出てきて困った。
そして着いた場所は、人のいない公園。
私も知ってる通学途中によく見る公園はいつもより雰囲気が違くて、少し不気味さが際立っている。
手を引かれてそのまま奥に進むと「入って」と囁いて、そこに一緒に入った。
ここは遊具の中。しかも土管。
他にもっといい場所はなかったのかと暗い空間に視線を移すと彼が言った。
「ここなら泣けるだろ」
身を精一杯縮こませた彼は「やっぱ狭いな」と苦しげに呟いてから、少し動くと頭を強打した音がしっかり聞こえて思わず笑ってしまった。



