叫べ、叫べ、大きく叫べ!


「お、今日は歩きか。珍しいじゃん」

「あはい。今日は家から直行だったんで。先輩はバイクですよね」

「いやぁそれが今日は歩きなんだなぁ。これから彼女と夏祭りなんだよねへへ」

「うわぁ」

「なんだその顔はー」


振り向くと男2人が楽しそうに話していて、背の高い人が少し低い人の頭をガシガシと揉みくちゃにしていた。


嫌がってるようだけど楽しそうなその姿に無性に止めていた感情が込み上げてきて――。



「うわっ――!?」

「えっ空牙……えなに!?何見せつけられてるのオレ!?」

「い、いや俺に言われても……って夏澄!?」


彼が自身の体から私を引き離して顔を覗く。


その目は『何してんの!?』とでも言っているみたいで、俯いた。


自分でも分からない。
でも気付いたら彼の懐にしがみついていた。



「えーっと、じゃっ彼女待ってるから行くわ。気ぃつけて帰れよ〜あと話聞かせろ〜」

「あ、はい、お疲れ様でした!先輩も楽しんでーっ」


彼の声がいつもより楽しそうに弾んでいて羨ましいと思いつつ、気まずさが込み上げてくる。


それだからって掴んだ彼のシャツの裾を放すことは出来なくて、視線は足元を写している。


頭上から彼のため息がひとつ聞こえてさらに視線を落とす。


分かってる。こんなところで抱きついて。しかも話している最中を割り込んで。私だってこんなことしてるのが信じられないよ。
でも……。