叫べ、叫べ、大きく叫べ!


気付けば周りは賑やかで。

見覚えのある風景に少し胸をなで下ろした。


“家になんて帰りたくない”


そうは思っていてもやっぱり帰るべき場所はあるのだと言い聞かせる。


とぼとぼと緩やかな坂道を下って行くとファミレスが見えてきて、懐かしみながら今来た道を振り返った。


……そっか、この道に繋がってるんだ。
なんだここら辺を半周したってこと。
家なんてもうあの信号を曲がってしまえばすぐなんだ……。


視線がアスファルトへ流れる。


やっぱ帰りたくない。
このままどこかへ行ってしまおうか。
どうせ誰も心配なんてしてくれない。むしろ居なくなって清々するんじゃない?
今の私は誰にも止めることなんて出来ないだろうし。好都合だ。


フッと鼻で笑ったのには何も意味を成さない。でも唐突におかしくなって。


暗くなっていく空とともに私の心もさらに黒さを増していく。
アスファルトから道路へ。道路を一定の速度で去っていく車を見た。


危ないことは分かっている。
でも、解放されたくて。痛くても構わないから。


危険な言葉が脳内を支配する。


“解放” “自由” “幸せ”


これを叶えるならこの方法しかないんじゃないかな。


ふらふらした足取りは横断歩道前へ近付く。
あと一歩踏み出せば叶うかもしれない。
私の周りには誰ひとり居ないから止めることもないだろう。


そう安心したその瞬間。


我に返ったように足を止めた。