叫べ、叫べ、大きく叫べ!


そわそわ。わくわく。
色んな感情を持ちながらその時が来るのを待って、待って、待って……――6時間後。


縦長の鏡の前に立つ私は、なんとなくキラキラして見えて思わずドギマギした。


これは本当に私……?


そう自分でもこの変貌に驚いてる。


メイクもなんとなく見よう見まねで施した程度。
浴衣もちゃんと着れて、このメイクとも相まってなんかイイ感じに思えてくる。


最終確認は笑顔で終えて、いざ現地へ。


慣れない下駄を履いて、ドアノブに手をかける。


――ガチャ


ひとりでに開いたドアの隙間から母が見えて、咄嗟に掛けていた手を放す。


買い物から帰ってきた母に「おかえりなさい」と声をかけても反応は当然無くて。
代わりに「行ってきます」とすれ違いざまに言うと珍しく反応が返ってきた。


その言葉に胸を抉られそうになる。


思わず確認するように問いかけると今度はドン底に落とされたような感覚に襲われた。



「いいねアンタは好き勝手やれてね。なにその格好。まさか夏祭り行くとか言わないよね?」

「……っ、」

「は?なに行くの?私だってたくさん我慢してるのに?栞那ちゃんだって部活で忙しいのに。それでもアンタは行くっていうワケ?」


母の瞳孔が開ききった光の無い瞳に身体が強ばっていく。

だんだんと手足の先が冷えていくのが分かって、その場に凍りついちゃうんじゃないかと思った。


怖い。目が怖い。この目が嫌い。
これ以上見たくない。
そう思うけれど逸らせなくて。