「はい」
「……」
「口開けなよ。食べたいんでしょう?ほら口」
都波の口元に近づけるけれど、私を見たまま固く口を閉じつづける彼にそろそろ痺れを切らしそうで。
少しイライラ。
もーなんで口開けてくんないの?
腕疲れたんですけどっ。
食べないの?食べるの?どっちなの!?
やけになって唇にカルボをつつくようにすると、ふるふるとそれは揺れて、さらにそこにカルボナーラの色が付く。
白くなった唇は柔らかくて……――っ。
ドキンと跳ね上がった心臓が思い出させたのは、前に都波が家の前でほんの少しだけ触れた感触だった。
っ、な、なに今思い出してるの。
別に白い唇でされたわけじゃ……ッ。
「も、もう知らないっ。いらないってこと、で――あ、」
「ほんと、夏澄ちゃんってばかだよね」
にやりと悪戯に笑った彼は一瞬引き離した手を手繰り寄せて、それを口に運んだ。
「うまー」とペロリと唇を舐めた彼は少し色っぽくみえて、元の色に戻ったことにも変に心拍が上がっていて。
こんなやつになんで変な汗かかなくちゃいけないんだっ、と自分の中で悪態をついた。
1つ物申したい。
「ばかってなに?」
「バカみたいに可愛いってこと」
「ハア?」
まじほんとこの人嫌だっ!



