理想の人は明日から……

 私の実家に、副社長と挨拶に来た。


 母は驚いていたが、嬉しそうだ。


 テーブルの上に一冊のアルバムが置いてあった。



「どうしたの、これ?」

 母に尋ねると……


「うん、ちょっと懐かしくて見てたのよ……」

 母は懐かしそうに笑顔で言った。



アルバムのページを捲ると……


「ママ、これ?」


「そう、パパよ。亡くなる少し前に、三人で公園に行った時よ」


 そこには、白いシャツを着て、背が高くて、優しい笑顔のパパが、幼い私に手を差し伸べていた……



「夢の中の理想の人は、パパだったんだ……」



 私の目からは涙が落ちた……


 副社長の手が優しく頭を撫でてくれていた。


「達哉さん、楓の事よろしくお願いします」

 母の目からも涙が落ちた。


「はい。必ず幸せにします……」