理想の人は明日から……

 部長は私のアパートの前まで送ってくれた。


 ディズニーランドは楽しくて、怖い事なんて忘れていた。

 しっかり、閉園時間まで遊んでしまい、ミッキーのぬいぐるみも買ってもらってしまった。



 だけど、アパートに戻ると、一人になる恐怖が湧いてくる。

 表情が固くなってしまう……


 部長は私の様子に気付いたのか? 頭を撫でてくれた。



「しばらくの間の荷物とって来いよ」


「ええ?」


「ここより、俺のマンションの方がセキュリティもしっかりしているから、部屋も空いているし、しばらく泊めてやるよ」


「ええっ?」


「いいから、早く荷物とって来い!」


「は、はい」


 私は車を降り、アパートへ走った。


 取りあえず荷物をまとめながら、本当にいいのだろうか? と考えるが、一人でアパートに居るのは怖い。


 私は荷物をまとめ、部長の車へと向かった。


 部長は車の外で待っていた。


「おい。何だ、それは?」

 部長は私の荷物の中から顔を出している、ネギを指さして言った。


「しばらくっていうから、冷蔵庫の中の物が腐っちゃうかと思って……」


「まあ、いいや。早く乗れよ」


 私は部長の車に乗った。



 車内がネギ臭くなっていくのは言うまでもないが……