理想の人は明日から……

 カウンセリングルームを出ると、部長が立っていた。


「どうしたんですか? ここ、病院ですよ。お腹でも痛いんですか?」


「違うよ…… 南を待っていた」


「えっ」


 後ろで三谷先生が笑って、こっちを見ている。


 部長は三谷先生の元へ行き、何やら確認をしているようだった。





「部長、仕事は?」


「サボった」


「ええ―。また―。部長はどうして!」


「いいから、いいから」


 部長は無理やり私を車に乗せて、車を走らせた。


「どこに行くんですか?」


「いいから、いいから」

 部長は嬉しそうに鼻歌なんか歌っている。やっぱりチャラ部長だ。



「到着!」

 部長の言葉に、辺りを見回した私は声を上げた。


「ええ―。どうして?」


「三谷が、多分南が好きなんじゃないかって」


「大好きですよ!」


 私の目は輝いた。


 そう、そこはディズニーランドの駐車場だった……


 さっき、三谷先生とディズニーランドの話で盛り上がった事を思い出した。



「部長と三谷先生って、お知り合いなんですか?」


「ああ、大学のサークルの後輩だよ」


「へえ―」


「さあ、降りろよ!」


「はい!」


 私は元気いっぱいの返事をした。


 部長は嬉しそうに笑って車を降りた。


「部長! 早く、早く!」


 私は部長の手を引っ張り走り出した。



 だって、ここは夢の国……