一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

慌てて残りの戸締りを済ませていく。

「あれ、さっき言っていたけど海斗、もしかしてお父さんの代わりに付き合ってくれるの?」

今さらながら尋ねると、海斗は深い溜息を漏らした。

「だからさっきそう言っただろ? 第一社長に頼まれたら断れねぇから」

「……ありがとう」

海斗は昔からお父さんのことを慕ってくれている。まるで本当の父親のように。

それをみんな見ているからこそ、私と海斗が結婚して欲しいと思っているようだ。

戸締りを済ませ、海斗とふたりで事務所を後にし、歩いて十分の距離にあるスーパーへ向かっていった。


「なぁ、最近お前ん家、たまごばっかり買っていないか?」

「……えっ!?」

肩を並べて向かう途中、何気なしに聞かれたことに過剰に反応してしまう。

そんな私を見て海斗は目を瞬かせた。

「なに? 俺、そんなに驚かせるような質問した?」


「いや、ううん! そんなことない、ただその……急に話しかけられて驚いちゃって。……えっと、ほら、お父さんも歳でしょ? だから毎朝健康のために生たまごを飲み始めたのよ!」