一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

やっと最後の見積書を作り終えたとき、海斗が上がってきた。

「お疲れ、美弥」

「あ、海斗今日もお疲れ様」

タイムカードを押すと、海斗は肩を回しながらこちらへ寄ってきた。

「なに? まだ仕事終わらないの?」

「ううん、ちょうど今終わったところ。海斗で最後だよね?」

パソコンを閉じ、時計を見ると時刻は十八時を回っていた。


みんな上がっていったし、海斗が最後なはず。

立ち上がり、事務所内の戸締りを確認し始めると、海斗も後を追ってきた。


「そう。……で、社長から頼まれたんだ。『少し残って仕事を終わらせていきたいから、悪いが海斗くん、俺の代わりに美弥とスーパーへ行ってくれないか』って」

「え、スーパー? ……あっ!!」

足を止めてから数秒間、考えてハッとした。

「そうだった、今日夕方六時からのタイムサービスの日だった!!」


毎週火曜日はいつも行っているスーパーで、十八時からタイムサービスが始まる。そこで毎週たまごをゲットしているのだ。