一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「私ももんじゃ焼きは久し振りなんです。……まずはこれを見て予習しておきましょうか」

テーブルの端にあったお好み焼き、もんじゃ焼きの焼き方を手にすると、南さんは興味深々。

ふたりして注文したものが運ばれてくるまで、じっくりと眺めてしまっていた。


今日を迎えるまで、正直食事先が一番心配だった。お見合いの時のように一流ホテルだったら、テーブルマナー気をつけないといけないし。


それなのに南さんが連れてきてくれたのは、下町風情が残るもんじゃ焼き屋。

店内はテーブル席が五つと、座敷が二席しかない小さなお店。


店員さんも気さくな人で、うまく焼けない私たちを見兼ねて教えてくれたり、南さんは人生で初めてお好み焼きをひっくり返したり。


もんじゃ焼きは熱いから気をつけてくださいって言ったのに、南さんってば欲張ってたくさんの量を頬張り、舌を火傷しちゃって。


緊張もドキドキもなくなり、終始楽しい食事の時間を過ごしていった。