一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「よかったの? 僕が選んで頼んじゃって」

「はい、特に嫌いなものはないので」

注文を済ませた後、南さんは申し訳なさそうに顔をしかめる。

けれどここもまた予想外で、ゆっくり吟味する余裕がなかった。


南さんが注文してくれたのは、もんじゃ焼き二枚とお好み焼き一枚。

家ではよくお好み焼きを作って食べているけど、もんじゃ焼きは久し振りだ。

高校時代に海斗たちとはよく行っていたけれど、それ以来かもしれない。


運ばれてきたコテやはがしと取り皿。すると南さんの目は輝き出した。


「すごい、これがお好み焼きをひっくり返すもので、こっちがもんじゃ焼きを食べるものだよね?」

子供のようにコテとはがしを両手に持ち、尋ねてきた彼にたまらず噴き出してしまった。

「もしかして南さん、お好み焼きやもんじゃ焼きも初めてなんですか?」

口元を押さえながら聞くと、南さんは目を見開いた後、恥ずかしそうに視線を落とした。

「……実は」

ボソッと呟くものだから、またクスリと笑ってしまった。