一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「残念ながら本当。だからちょっと楽しみだし、初めての場所にこうしてミャーと一緒に来られて嬉しいよ」

「……南さん」

そんなことを言われてしまったら、胸がトクンと鳴ってしまうじゃない。

「行こうか、まずはパンダかな」

そう言うと南さんは自然に私の手を握って歩き出した。

「え、みっ、南さんっ!?」

手、手っ!!


大きな手に引かれていくけれど、戸惑いを隠せない。

私とは対照的に南さんは平然としていて、「デートなんだからいいでしょ?」なんて言ってくる。


そりゃ私だって今まで男の子とデートをして、手を繋いだことあるけど、でも今、私が手を繋いでいる相手は南さん。


なぜかたったそれだけで気持ちはかき乱されてしまう。

そんな私の気持ちを知る由もない南さんは、パンダの展示ブースへ歩を進めていく。


もしかして今日はずっと手を繋がないといけないわけ? こんな状況じゃ動物園を満喫なんて、できそうにないって思っていたんだけど……。