一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

そういえば南さん、今日はどこに行くつもりなのかな? 行き先は言われず、ラインでただ九時に迎えに行くときただけ。

やり取りもそれしかしていない。この前も仕事が忙しいって言っていたし、ずっと忙しかったのかも。

そう思うと、今日わざわざ貴重な休日に会ってもらうのが、申し訳なく思う。

一日中一緒にいて、やっぱり思っていた人と違ったってストレスを与えかねないのだから。

自分で会うことを決めたくせに、いざ会うとなると色々と考えてしまう。

いつも悩んだり迷ったりすることがあると、すぐ海斗に相談していたから余計かもしれない。

今回ばかりは相談できずにいるから。


お父さんがいないと部屋の中はシンと静まり返っていて、私まで落ち着きを失ってしまい、立ち上がったしまったとき、勢いよく玄関のドアが開いた。


その音にビクッと反応してしまったのも束の間、すぐにお父さんの慌てた声が聞こえてきた。

「みっ、美弥っ! 大変だっ!!」

そう言いながら私の元まで駆け寄ってくると、肩を上下に揺らしながら驚き固まる私に言った。