「……全然似てないじゃない」

ポツリと漏らし、頬を膨らませてしまう。

むしろ私と似ているだなんて、トイプードルに失礼だ! 似ても似つかないじゃない。

私はこんなに可愛い顔していないし、ただ髪が似ているってだけな気がするんだけど。

それなのにあの人は私のこと、「可愛い」なんて言っちゃって。


「目が悪いんじゃない? 全然可愛くないから」


口ではそんなことを言っちゃっているけれど、内心ではちょっと……ほんのちょっとだけ嬉しかった自分がいる。

迷いなく「可愛い」なんて言われたら、女の子なら誰だって嬉しいって思ってしまうものじゃない?


マウスを動かしながら、ひたすら愛らしいトイプードルの写真を眺めていると、急に背後から声が聞こえてきた。

「トイプードル?」

「ギャッ!?」

静かな事務所内に突如聞こえてきた自分以外の声に肩が跳ね、色気のない声が出てしまった。

すぐに振り返り見ると、私の声に驚いた顔をして立っていたのは海斗だった。