休日の昼下がり。優しいオルゴールの音色が響く中、愛しの彼は困ったように唸っていた。


「どうしよう、ミャー。ここにあるドレス全部ミャーに似合い過ぎて、選びきれないんだけど。もういっそのこと全部着ちゃおうか?」

「何言ってるんですか! ウエディングドレスは一着で充分です!」

試着室での私たちのやり取りに、担当のプランナーさんは苦笑い。

一ヵ月もお世話になっていると、彼がどんな人なのか充分理解できておられるようだ。


「新婦様には、こちらのドレスなどいかがでしょうか?」


見兼ねたスタッフが一着のウエディングドレスを持ってきてくれると、南さんの目は輝き出す。

「これ、ミャーにぴったりなデザインですね!」

「はい、私もお似合いになるかと思います。ご試着してみませんか?」

「うん、試着してきなよミャー」


ふたりに言われるがまま試着させてもらうと、自分でも気に入ってしまった。

鏡に映るウエディングドレスを着た自分を、まじまじと見つめてしまう。

サイズもピッタリだし、デザインも可愛い。