「えっと……南さんですよね？　初めまして、美弥の親友の佐川亜優と言います」

「佐川亜優さん……？　え、女の子!?」


よほどびっくりしたのかいつになく大きな声を上げ、私と亜優を交互に見てくる彼に、私と亜優は笑ってしまった。



「早い便で帰ってくるなら連絡してくれればよかったじゃないですか」

「ごめん、ミャーを驚かせようと思って……」

あれから気を利かした亜優は買い物を私と南さんに任せ、一足先に帰っていった。


そんなわけでスーパーで南さんにカートを押してもらい、一緒に買い物をしているわけだけど、彼はすっかり意気消沈しちゃっている。


「佐川さん怒っていないかな？　初対面で男と間違った僕に対して。……どうしよう、ミャーの親友に嫌われちゃったら」

「大丈夫ですよ、亜優はそんな子じゃありませんから」

きっぱり断言するものの、彼はいまだに不安げ。


「南さん、お鍋とはちょっと合いませんが、だし巻きたまご作りましょうか？」

「本当？　食べたい！」

現金な人でだし巻きたまごって聞いて、パッと表情を明らめた。