一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

高校生になった頃から私服で亜優と街を歩いていると、いつも注目されていた。

それというのも亜優は身長百七十センチ。スラッとしたスリムな体型とボーイッシュなショートヘア。

そしてなにより黒を基調とした服を好んで着ている。私服で亜優がスカートを履いているところは一度も見たことがない。


そんな亜優はそこらへんの一般男子よりずっと男前だ。だからすれ違う人はみんな亜優を振り返り見てくる。

高校時代にはよく雑誌の街角カップルコーナーなどで声を掛けられていたほどだ。


「亜優、たまにはスカート履いてみたら? 海斗大喜びすると思うけど」

「えー無理。私スカート嫌いだし」

「……美人なのにもったいない」

ボソッと呟くと、すかさず亜優は抱き着いてきた。


「美人じゃないから! それにスカートっていう可愛い衣服は美弥みたいな子が履くためにあるんです」

「わ、ちょっと亜優!?」

「相変わらず髪ふわふわで可愛いなぁ」

そう言いながら亜優は私の髪をクシャクシャと撫で始めた。