一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

そうかもしれない。

私、南さんのお父さんに言われなかったら、自分の気持ちに気づかず南さんに会いにくることができなかったかも。


「せっかくミャーが来てくれたのにごめんね。五日間だけ行ってくる」

「はい、気を付けて行ってきてください」


すると南さんは意地悪そうにニッと笑い、私の耳元に顔を寄せ擦れた声で囁いた。

「帰ってきたら、いっぱいミャーにキスさせて。……もう絶対離さないから」

「……っ！」

彼の顔が離れていくと同時にバッと耳を手で押さえてしまうと、南さんは声を上げて笑った。

「もう、どうして笑うんですか！」

すぐさま抗議すると、彼は公衆の面前でキスをした。


そして放心状態の私にとびっきり甘い言葉を残し、搭乗ゲートへと消えていった。


「戻ってきたら寝かせてあげられないから、今日からたっぷり寝ておいてね」と。

そして最後に「愛している」と囁いて――。