一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「え……だって南さん、サンフランシスコへ異動が決まったんですよね? そこに今から行くんですよね?」

南さんのお父さんから聞いた話をそのまま伝えると、途端に彼は慌て出した。


「なにそれ、そんなわけないでしょ? 今回は会議に出席するために行くだけだよ? ちゃんと帰ってくる」

「……う、そ」

え、待って。頭がついていかない。

南さん異動するんじゃなかったの? いつ帰ってくるか分からないんじゃなかったの?

「誰に聞いたの? そんなデマ」

「えっと……南さんのお父さんに」

「父さんが?」

意外な人物だったのか南さんは目を丸くさせたあと、頭を抱え込んでしまった。

「父さんってば、一体どうしてそんなことを」

「すみません、てっきりもう会えないのか思って……」

目を泳がせながら言うと、彼はクスリと笑った。


「でも父さんが嘘を言ってくれなかったら、ミャーはここに来てくれなかったよね? だったら感謝しないとね」