一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

病院を後にし大通りに出るとすぐにタクシーに乗り込んだ。

「すみません、成田空港までおねがいします」

「わかりました」

タクシーの車内で乱れて呼吸を必死に整える。


時間を確認すると十四時半。ここから空港までは一時間弱。間に合うよね?

不安に駆られる私を乗せてタクシーは渋滞にはまることもなく、成田空港へと向かっていった。



「ありがとうございました」

支払いを済ませタクシーを降り第二ターミナルへ急ぐ。


けれど休日の空港内はたくさんの人で溢れ返っていて、とてもじゃないけれど南さんを探し出すことは不可能だ。

「あ、電話……っ!」

どうしてスマホの存在を忘れちゃうかな。

急いでスマホを取り出し、周囲を見回し足を進めながら電話を掛けた。

まだ搭乗していないよね? お願い、出て……!

呼び出し音が耳に届く中、ふと目に入った人物に足が止まってしまう。