「美弥、それじゃ……っ!」

パッと海斗の表情が和らいだのを見ちゃうと申し訳ないけど――。

「でもごめん。やっぱり一度、距離をおくべきだと思うの。今のままの気持ちじゃ一緒にいられないよ」

ハッキリ自分の気持ちを伝えると、海斗の表情は一気に曇り私の肩を掴んでいた手は離れていった。

「そっか。……そう、だよな。そんな簡単な話じゃねぇよな」


簡単なことじゃない。それはきっと好きだからこそだと思う。彼のことが好きだから臆病になってしまう。傷つくのが怖いんだ。


「ごめんね、私のために言ってくれたのに。いつもありがとう」

笑ってお礼を言うと、海斗は視線を落とした。


「心配するのは当たり前だろ? でもよく考えてほしい。好きな人と会えない辛さがどんなものなのか、俺……嫌ってほどわかるから」

「海斗……」

そうだよね、海斗は付き合い始めた時からずっと亜優と遠距離恋愛中だ。

好きな人と会えない寂しさを誰よりも一番理解しているはず。

南さんとは一ヵ月以上会えない日はなかった。会えなくても数週間だったから。