「よかったね水谷さん、命に別状なくて。安心した」

「……はい」


本当に安心した、よかった。倒れてから救急車に運ばれている最中も、ずっと最悪の状況ばかり考えてしまっていたから。

病院を出て大通りまで来ると、南さんはタクシーを停めた。

そして私の自宅住所を運転手に告げると、タクシーは走り出した。


「明日色々と持っていくようだけど、ひとりで大丈夫?」

「はい、大丈夫です。……あの、南さん今日はありがとうございました」

今になって初めて彼に頭を下げ感謝の気持ちを伝えられた。


「南さんがいてくれて本当に助かりました。私ひとりだったら、あのままオロオロするばかりだったので。ありがとうございます」

再び感謝の言葉を口にすると、南さんは「あの場にいれらてよかったよ」と優しい声色で言ってくれた。


「ミャーをひとりで苦しませずに済んでよかった。……本当、こんなタイミングで勇気を出して行ってよかったよ」

そういえば南さん、どうして今日は家に来てくれたのかな? それに――。

「あの……すみませんでした。南さん、ずっと連絡くれていたのに出なくて」