一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

なぜこのタイミングで犬の写真? しかもトイプードルとか……顔が引きつるんですけど。

幼いころから何度も言われてきた。「トイプードルに似ているよね」って。

トイプードルに罪はないけれど、私は正直、犬は好きだけどトイプードルだけは好きじゃない。

なのに彼は嬉しそうに「可愛いでしょ?」と言ってくる。

どうにか肯定するように頷いた。

「この子は僕が中学生の頃から飼っていたんだけどね。……先月、亡くなってしまってね」

「……え?」

声を上げてしまうと、彼は大きく瞳を揺らし、スマホの画面を眺めた。


「この子だけはいつも僕の味方だった。……この子がいたから、今まで頑張ってこれたと言っても過言ではないくらい、僕にとっては大切な存在だったんだ」


あまりに悲しそうに話すものだから、私まで胸が痛くなってしまった。

私も三歳の頃、捨て犬を拾ってきて亡くなるまでずっと飼っていたことがある。

いつも一緒で大好きだった。

そんな存在を失ったときの気持ち、分かるから。

しんみりとした空気が流れる中、「でも……」と言うと、彼は私を見つめてきた。