「ミャー、違うんだ。僕はっ……!」

「南さん、これ以上美弥を傷つけるのはやめてくれますか?」

南さんの声を遮ると、海斗は私の腕を引き、南さんから見えないように庇ってくれた。


「以前は美弥のことお願いしますって言いましたけど、今の南さんには美弥のことお願いしたくありません。つーかおかしいだろ。好きな女より幼なじみを信じるとか。きっぱり断言なんてするなよっ!」

海斗……。

海斗の言葉に拭ったはずの涙が再び溢れ出す。


「美弥をこれ以上泣かせたくなかったら、今日はもう帰って頂けませんか?」

「でもっ……!」


「颯馬、彼の言う通り今日は帰った方がいいかと思う。……冷静になれない状態では話もできないでしょ?」

冷静になれない話をしてきたのは笹本さんなのに……!

すかさず口を挟んできた笹本さんに、悔しくて拳をギュッと握りしめてしまった。


「そうですね、南さんも一度ひとりになって冷静になった方がいいですよ。どれだけ美弥を傷つけたか、思い知ればいい」


そう言うと海斗は私の腕を掴み、自宅へ向かって大股で歩き出した。

「行くぞ、美弥」