一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「サンキュ。……つーか美弥は頼りなくないから。俺だって昔から美弥の存在に何度も助けられてきたよ。……今回もな」

「海斗……」

海斗が私のことをそんな風に思ってくれていたなんて。

お互い顔を見合わせ照れ臭くなり、どちらからともなく笑い出してしまった。


海斗とはずっと一緒にいるのにな。お互い言葉にして伝え合わないとわからないことが、まだまだあるようだ。

「じゃあ俺、帰るわ」

「あ、うん」

「また明日」と言って踵を返し海斗が私に背を向けたとき、一台の車が会社の敷地内に入ってきた。


見覚えのない高級外車。駐車場に停車すると後ろの席のドアが開き、目を疑う人物がふたり降りてきた。


「え……南さん?」

降りてきたのは二週間ぶりに会う南さんと、そして先ほどまで海斗と話していた彼の秘書、笹本さんだった。


「マジかよ……」

帰るところだった海斗の足は止まり、降りてきたふたりを見て海斗はポツリと声を漏らした。


「ミャー、久し振り」

車を降りるとすぐに聞こえてきたいつもの南さんの声。

笑顔でこちらに歩み寄ってくる彼と一緒に、笹本さんもまた一歩後ろからこちらに向かってきた。