声が震えてしまう。
そんなまさか。……まさか笹本さんが、今回鈴木さんたちの引き抜き話に関わっている、なんてことはないよね?
けれど海斗も同じことを思っていたようで、唇をギュッと噛みしめた。
「俺は間違いなく南さんの秘書が、この一件に関わっていると思っている。でも誰だってそう思っちまうだろ? タイミングがあまりによすぎる。それにうちみたいな町工場なんてたくさんあるのに、どうして笹本モーターズみたいな大手が、わざわざ引き抜き話なんて持ちかけてくるんだ? しかも社長が一生懸命開発していたサンプルやデータを盗んでこいなんて、交換条件を出してっ!」
感情が粗ぶり声を荒げる海斗に何も言えなくなる。
私だって同じ気持ちだ。タイミング的に考えても疑ってしまうし、どうしてうちの会社の社員を急に引き抜こうと思ったのか、理由も明白ではない。
なにより交換条件を聞いたら、どうしても笹本さんと関係しているんじゃないかって疑ってしまう。
笹本さんに宣戦布告された。南さんを想う気持ちでは負けないって。だったら会社は関係ないはず。
そんなまさか。……まさか笹本さんが、今回鈴木さんたちの引き抜き話に関わっている、なんてことはないよね?
けれど海斗も同じことを思っていたようで、唇をギュッと噛みしめた。
「俺は間違いなく南さんの秘書が、この一件に関わっていると思っている。でも誰だってそう思っちまうだろ? タイミングがあまりによすぎる。それにうちみたいな町工場なんてたくさんあるのに、どうして笹本モーターズみたいな大手が、わざわざ引き抜き話なんて持ちかけてくるんだ? しかも社長が一生懸命開発していたサンプルやデータを盗んでこいなんて、交換条件を出してっ!」
感情が粗ぶり声を荒げる海斗に何も言えなくなる。
私だって同じ気持ちだ。タイミング的に考えても疑ってしまうし、どうしてうちの会社の社員を急に引き抜こうと思ったのか、理由も明白ではない。
なにより交換条件を聞いたら、どうしても笹本さんと関係しているんじゃないかって疑ってしまう。
笹本さんに宣戦布告された。南さんを想う気持ちでは負けないって。だったら会社は関係ないはず。



