一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「鈴木さんもそうだけど、今回退職した五人全員に共通点があるの、気づいたか?」

「共通点?」

「あぁ。みんな年頃のお子さんがいる」

「あっ……」


そういえばそうだった。確か小学生から高校生までのお子さんがみんないた気がする。だけどそれと今回のことで何が関係しているというのだろうか。その答えを海斗は話していった。


「鈴木さん、話しながら泣いていたよ。でも生活に背に腹を変えられないって言ってた。お子さんのことを思うと余計にって。……声を掛けられたらしい。データを持ってうちにこないかって」

「それって……」


バクバクと鳴る心臓。その先にセリフを私に代わり海斗が言った。

「引き抜きだ。しかもミナミグループ系列の会社から。好待遇を約束に話しを持ち掛けられたらしい」

そう、だったんだ……。驚愕の真実に戸惑いを隠せない。


「引っ越し費用も新しい住居先も短期間で手配してくれたらしい。五人とも今は引き抜かれた会社で技術職として働いているって言ってた」

「……そっか」


戸惑いを隠せないけれど、みんなそれぞれ元気にいることを知ってホッとした。連絡が取れない分、どうしているか心配もしていたから。