一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「私から会いに行こうかな……」

そうすればお父さんと会わさずに済む。合鍵を使ってだし巻きたまごを作って待っていますって言えば、不自然に思われることもないよね。


納品してしまえば、あとは急いでやる仕事もない。お父さんにはゆっくり休養してもらおう。そうすれば南さんにも、南さんのお父さんにも気づかれないはず。

そう思い、南さんにメールを返した。



そして迎えた日曜日。今日の夜にはいよいよ南さんが帰ってくる。

今日も朝早くからお父さんは作業所へ向かった。

朝ご飯を用意しても、半分残された。さっきお昼の差し入れにいったけれど、ちゃんと食べてくれただろうか。

洗濯物を畳みながら心配になってしまう。


お父さんには今日、南さんが出張から帰ってくるから会ってくるとは伝えたけれど……。

今日は会って一緒に食事をしたら帰ってこよう。お父さんのことが心配だもの。

畳んだ衣服をしまい、家事をしている間に時間は過ぎていき、夕方の十六時を迎えようとしていた。

「あ、そろそろ出ないと」

南さんが帰ってくるのは十九時着の便だと言っていた。

空港から車で三十分程度。材料を買っていきたいからそろそろ出ないと。