一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「俺ひとりで大丈夫。お前は社長についていてやってよ。……一番つらいのは社長だから」

大きな手が伸びてきて、乱暴に。だけど触れる手は優しく私の頭を三回撫でて離れていった。

「じゃあまた明日な。……お前も今日はゆっくり休め」

「あ、うんありがとう。気をつけてね」

玄関まで見送ろうと立ち上がったけれど、海斗は足早に玄関へ向かい靴を履いて帰って行ってしまった。

玄関のドアが閉まる音が響き、私も力が抜けたように座り込んでしまった。


色々なことが起こりすぎて頭の中はパンク状態。……でも前を向かないと。私まで塞ぎ込んでしまってはだめだよね。

この日は軽く夕食を取り、いつもより早い時間にベッドに入った。


次の日の朝。いつもより三十分早い時間にセットしておいた目覚ましを止め、ゆっくりとベッドから起き上がった。

そろそろ冬本番。肌寒さを感じながらカーテンを開けると眩しい朝陽に目を細めてしまう。

「……よし!」

朝陽を浴びて元気が出た。


昨日のお昼からお父さん、まともに食事をとっていないしお腹が空いているはず。美味しいものを沢山作って食べてもらいたい。