一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「でもお父さんだけじゃないでしょ？　みんなだって海斗だって同じ。……だってずっと一緒に働いてきた仲間だもの」

「……あぁ」

力ない声で呟くと、海斗は目を伏せた。

「でも俺、やっぱりまだ信じられない。ずっと一緒に働いてきたからこそ信じたくねぇよ」

「海斗……」

悲痛な想いに胸が痛くなる。


私も信じたくないよ。だから電話もして家も訪ねてしまった。けれど辛い現実を突きつけられただけだった。


電話が繋がらないのも、図ったように五人それぞれ引っ越ししちゃったのも、すべて五人が犯人で逃げたんだって思えてしまったから。


「美弥……俺は俺でどうにか五人と連絡を取ってみるよ」

「え？」

大きく息を吐き立ち上がる海斗。


「だってやっぱ信じたくねぇもん。それに先輩たちから直接話を聞かないことには信じられない。これでも高校を卒業してからずっと世話になってきた人たちなんだ。行きそうな場所とか当たってみるよ」

「じゃあ私も……」

けれど海斗は首を横に振った。