一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

だって長年ずっと一緒に働いてきた仲間なのだから。私と海斗が勤め始める前からずっとずっと。

「とりあえず事務所へ行こう。……みんな美弥のこと、心配してるから」

「……うん」

海斗に肩を抱かれ、足元をふらつかせながら事務所へと戻っていった。


「社長、大丈夫か?」

「うん……今日はもう寝るって言って自分の部屋にいる」


あれから海斗と事務所に戻ると、みんな私の顔を見て安心していた。けれどそんなみんなの目は赤く染まっていて、お父さんから話を聞いて涙を流したようだった。


古株の森さんと田山さん中心に、落ち込むみんなを励ましてくれていたけれど、みんな力ない顔でカラ元気で。


それはもちろん森さんと田山さんも。……ううん、きっと今回のことでお父さんと同じくらい、いや、お父さん以上にショックを受けていたのかもしれない。


ふたりは辞めた五人を入社当時からずっと育ててきたから。

そんなふたりに励ましてくれたら、元気を出さないわけにはいかない。