一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

まだ完全にみんなが犯人って決まったわけじゃない。なにより本人から直接話を聞かないことには、信じられないよ。

思い立ち、五人の住所をコピーしそれを手に事務所を飛び出した。

そうだよ、会ってちゃんと話を聞きたい。嘘だと言ってほしい。

その一心で五人それぞれの自宅へと向かっていった。



「美弥、お前どこ行ってたんだよっ! 心配しただろうが!」

「海斗……」


トボトボと重い足取りで戻ると、会社の前には海斗が立っていて、私の姿を見つけると切羽詰った顔をして駆け寄ってきた。


「……事情は聞いたよ。みんな今日ばかりは仕事どころじゃなくなっている」

「そっか……」

力ない声で返事をすることしかできない。そんな私に海斗は恐る恐る聞いてきた。


「それでどうだったんだよ。……お前のことだ、鈴木さんたちの家に行ってきたんだろ? 会えたのか?」

さすがは海斗だ。私の行動パターンをよく理解している。

でも理解しているなら聞くまでもないでしょ? ……私の顔を見れば海斗なら気づけちゃうはず。