そうだよ、みんないつも通りだった。なのにどうして? 突然辞めてしかも新製品のサンプルとデータが盗まれたなんて。
「そうだ、事務所の鍵が空いていたの! だからきっと新製品のサンプルやデータを盗んだのは空き巣じゃないの!?」
思い出し早口で問いかけるも、お父さんは固く瞼を閉じたまま首を横に振った。
「新製品のサンプルやデータの保管場所……知っていたのは、父さんと退職願を出してきた鈴木くんだけなんだ」
「そんな――」
言葉を失ってしまう。
「鈴木くんは三十代半ばで技術も才能もあった。……育てたい一心で彼にだけ手伝わせていたんだ」
嘘でしょ、まさかだって。
否定したい言葉ばかり頭に浮かんでしまう。
「信用していた。……鈴木くんだけじゃなく、会社のみんなを。だからこそ保管場所の金庫は簡易的なものだったんだが……それがいけなかったな」
再び涙を流すお父さんに堪らず立ち上がった。
「そうだ、事務所の鍵が空いていたの! だからきっと新製品のサンプルやデータを盗んだのは空き巣じゃないの!?」
思い出し早口で問いかけるも、お父さんは固く瞼を閉じたまま首を横に振った。
「新製品のサンプルやデータの保管場所……知っていたのは、父さんと退職願を出してきた鈴木くんだけなんだ」
「そんな――」
言葉を失ってしまう。
「鈴木くんは三十代半ばで技術も才能もあった。……育てたい一心で彼にだけ手伝わせていたんだ」
嘘でしょ、まさかだって。
否定したい言葉ばかり頭に浮かんでしまう。
「信用していた。……鈴木くんだけじゃなく、会社のみんなを。だからこそ保管場所の金庫は簡易的なものだったんだが……それがいけなかったな」
再び涙を流すお父さんに堪らず立ち上がった。



