「ごめんね、少し歩くけど大丈夫かな?」

「あ、はい大丈夫です。でもどこへ……?」

尋ねると、南さんはすぐに答えてくれた。

「ここからすぐの場所にある、僕たちが出会った場所」

それってもしかして……。


予想通り、南さんが連れてきてくれたのは、私たちが初めて会ったホテルの最上階にあるレストランの個室。

あの日と同じように向かい合って座ると、事前に予約した際に注文しておいたのか、料理が運ばれてきた。それも同じ料理が。


「これ……」

「あ、覚えてくれていた? あの日、食べた料理のことも」

「……はい」

忘れるわけがない。南さんと会った日のことも、食べた美味しい料理の数々も。

「まずは冷めないうちにいただこうか」

「はい」


あの日と同じように、次々と運ばれてくる美味しい料理に舌鼓をうちながら、時折会話を楽しみ、時間は刻々と過ぎていく。

「お腹膨れた?」

「はい、とても美味しかったです」

食後のデザートまでいただき、お腹ははち切れてしまいそうだ。

「それはよかった。……今日はどうしても、ここでミャーと話がしたかったんだ」

「ここで、ですか?」

聞くと彼は頷いた。