一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

そんな私の腕を引いたまま南さんはスタッフのひとりに声を掛けると、奥にあるVIPルームに案内された。

個室の中央に革張りのソファとテーブルが置かれており、促されるまま南さんと並んで座ると、すぐに年配のスタッフが入室してきた。


「失礼いたします。南さま、この度はご婚約、誠におめでとうございます」


深々と頭を下げるスタッフに、アタフタしてしまい何も言えずにいる私とは違い、南さんは「ありがとう」とスマートに返した。

「ご希望に沿ったご婚約指輪の方、いくつかお持ちいたしましたので、どうぞごゆっくりご覧ください」

テーブルに置かれたのは。目を見開いてしまうほどダイヤが光り輝く指輪たち。

素人目から見てもわかる、絶対ここにあるものすべて高いって。


スタッフは一礼すると、邪魔にならないようドアの方へ移動すると、南さんは早速私に尋ねてきた。

「ミャー、どれがいい? ミャーに似合うものをいくつか用意してもらったんだけど」

そう言うと南さんはおもむろにひとつの指輪を取り、私の左手薬指にそっとはめてくれた。