一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「車は確かに通勤用とプライベート用のこの車で二台持っているんだけど、ミャーと初めてデートした時の車はレンタカーだったんだ」


「え、レンタカーですか?」

どうして車があったのに、わざわざ借りたりしたんだろうか。不思議に思いオウム返しをしてしまう。

「そう。……覚えているかな? 初デートのコース、友達に相談したって」

「……は、い」

咄嗟に笹本さんが脳裏に浮かんでしまい、ドキッとしてしまった。

なんとか返事をすると、南さんは「実は」と前置きし、話し出した。


「相談した友達っていうのは真理愛だったんだ。デートコースもだけど、この車よりワンボックスカーの方がいいと思うって言われて、それでレンタルしたんだ」

「そう……だったんですか」


もしかしてそれも私に南さんを幻滅させるために、アドバイスしたのかな? 正直、初めて南さんの車を見た時、意外だなって思ってしまったから。


「あ、そうだ。真理愛にね、僕たちのこと話したから」

「……え」

思わず運転する彼をガン見してしまう。