一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

『楽しみにしているね、ミャーに会えるの』

甘い言葉に反応に困る。――でも、私も同じ気持ち。

「……はい」

返事をするだけで精一杯で、心の中で「私も」と囁いた。

『じゃあおやすみ、ミャー』

「おやすみなさい」

名残惜しいけれど、南さんは明日も朝が早いはず。そう思い、切ろうとしたとき。

『愛しているよ、ミャー』

「……え」

最後にとんでもないことを囁かれて、先に電話を切られてしまった。


「え……えっ!?」

切れた通話。けれど今だに硬直したままスマホをジッと眺めてしまう。


南さん、最後になんて言った!? あっ、愛しているって……!

カーッと身体中が熱を帯びていき、耐え切れなくなりそのままベッドに倒れ込んだ。

南さんのセリフを思い出しては、足をバタアタさせてしまう。


「どうしよう、幸せすぎて怖い」

今まで付き合ったことあるのに、その時の比ではないくらい幸せを感じてしまう。

それはきっと南さんがいつも、私に甘い言葉をたくさんくれるからだ。

愛されているって実感できてしまうから。


「明後日……楽しみだな」

スマホを胸の前で、両手でギュッと抱きしめてしまう。

幸せな気持ちに包まれたまま、この日は眠りに就いた。